久しぶりに見たら原作のマンガが急に読みたくなり、本棚から引っ張り出しで土日で読んだ。
通して読むのは4回目だが、このマンガはカントパパのこの歳になってもいまだに難解だ。
何と色んな切り口のテーマがあるのだろう?
人と自然との関わり、命とは?希望とは?、戦争と人の残酷さ愚かさ、神について、指導者の在り方、リーダーシップ・・・・・・。実にきりが無い。
今回印象に残ったのは宮崎駿の作品の戦争や戦いのテーマにおける「残酷」さ。
。「もののけ姫」、「天空の城ラピュタ」「ハウルの動く城」などなど。命の尊さを描く反面残酷さもひとしおだ。
「天空の・・・」では、ラピュタの衛兵ロボットによる強襲で、戦艦ゴリアテの兵士がポタポタと海へ落ちるシ ーンで悪役ムスカの有名(?)な台詞に
「見ろ!!人がゴミのようだ!!」
といういうのがあったのを思い出すが、ナウシカの原作は戦いの残酷さ凄惨さはさらに加速していた。
「スターシップ・ツルーパーズ」ばりの飛び散る細切れの死体、撃墜される飛行機から落ちてゆく女子供、そしていとしい動物達も死んでゆく。
逃げ惑う人々、全滅してゆく一族。王族の裏切りと駆け引きの駒となっていく兵士、戦場での報われぬ死、犬死。
そして、最後は累々たる死体の上に何事も無かったように蔓延る腐海の菌類。
当然その反対側には愛や信頼や忠誠、友情、自己犠牲といったその死を上回る感動のシーンが描かれているのだが・・・。
しかし、弱っているときはこういった残酷なシーンはすごく心に突き刺さってしまう。とらわれると「鬱」になる(笑)
命の尊さを描くには反対側にある死について、死の残酷さや荘厳さをえがくこと。戦争のシーンでは死者への冒涜や騎士道的なとむらいなど相反するものをきちんと描く必要があるんだろう。このマンガはふだん私達が目を逸らしている部分をいやおうなしに見せ付けていく。
いやいやともかく、腐海や蟲など自然の猛威、その中で戦争でお互いに殺しあう人の愚かさ、絶望し打ちひしがれる人。そして「虚無」。
しかしその中に合って、多くの実に多くの死を乗り越え、残された人類を導こうとするナウシカの強さとひたむきさ。何でそこまで・・・・・。
仕組まれた未来、恐ろしい事実、未来を切り捨ててでも進まなくてはならない現実、重い選択、あまりにも重い責任、不確定な未来
でも、それでも、私たちは「生きて」いかなければいけない!
もう涙なしには読めない。おやじを泣かすマンガだ。
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